「経費のおすすめって、結局どれを計上すればいいの?」——そんな疑問を持つ個人事業主は多いはずです。私はAFP(日本FP協会認定)の資格を持ち、総合保険代理店時代に500人以上のフリーランス・個人事業主の資金相談を担当しました。今も東京都内で法人を経営しながら確定申告を自分で処理しています。この記事では、節税効果が高いおすすめ経費15項目を、実体験をもとに優先度順で解説します。
経費計上の基本3原則|おすすめ経費を選ぶ前に押さえること
「事業との関連性」が経費化の唯一の基準
経費として認められるかどうかを決めるのは、税務署が使う一つの基準です。それは「事業遂行のために必要な支出かどうか」という点です。所得税法第37条では、事業所得の計算上、必要経費は「業務の遂行上直接必要な費用」と定められています。
私が総合保険代理店に勤めていた頃、相談に来た30代のWebデザイナーの方が「スポーツジム代を全額経費にした」と言っていました。健康維持が仕事のパフォーマンスに影響するという理屈でしたが、税務調査で指摘を受けたと後日聞きました。「必要な気がする」と「事業上直接必要」は別物です。ここを混同すると、後で痛い目を見ます。
領収書とメモが「証拠」になる
経費計上で見落とされがちなのが、支出の記録管理です。領収書があることは大前提ですが、それだけでは不十分な場合があります。特に飲食費や交通費は「誰と」「何の目的で」を後から証明できるメモを残しておくことが大切です。
私自身、民泊事業を立ち上げた2022年の初期に、東京・台東区で物件の内見に行った交通費をまとめてICカードの履歴から計上しようとして、目的のメモがなくて困った経験があります。その後は専用のメモアプリに「日付・金額・目的・相手先」を記録するルールを徹底しました。手間は5秒ですが、確定申告の時間を大幅に短縮できます。
節税効果が高い経費TOP5|私が確定申告で最大化した項目
通信費・家賃・車両費——金額が大きい3項目を見逃すな
節税効果の観点で考えると、単価が高い経費ほどインパクトが大きくなります。私がおすすめする経費の中で、金額が大きくなりやすいのは次の3つです。
まず通信費です。スマートフォンや自宅インターネット回線を事業と私用の両方で使っている場合、使用割合に応じて家事按分で計上できます。私の場合、スマホの事業利用割合を70%と設定し、月額約8,000円のうち5,600円を経費にしています。年間で約67,000円の経費増加です。
次に地代家賃。自宅で仕事をするフリーランスは、使用面積や使用時間の割合をもとに家賃を按分できます。事務所を別に借りている方はもちろん全額計上可能です。そして車両費。取引先への移動や荷物の運搬に使う車は、ガソリン代・駐車場代・車検費用まで事業割合で計上できます。
書籍代・セミナー費・ソフトウェア費——10万円以下なら一括計上
次に注目してほしいのが、知識・スキルへの投資に関する経費です。業務に関連する書籍は「新聞図書費」として計上できます。私は年間で技術書やビジネス書に約3万円使いますが、これをすべて経費にしています。
セミナーや勉強会への参加費は「研修費」または「諸会費」で処理できます。さらに、クラウド会計ソフトや業務用サブスクリプションは「消耗品費」または「通信費」で計上できます。10万円未満の業務用ソフトは購入年度に一括経費化が可能です(一般的な税務処理の目安として)。これらを組み合わせるだけで、年間10〜20万円規模の経費増加を見込める可能性があります。
私が体験した経費の失敗談|保険代理店時代の相談事例と自分の過ち
「交際費の全額計上」で税務調査に怯えた相談者
総合保険代理店で相談員として働いていた時期、特に印象に残っているのが40代のITフリーランスの方の事例です(個人を特定できない形で抽象化しています)。その方は、友人との飲み会を含む飲食費をすべて「接待交際費」として計上していました。年間で50万円近い金額でした。
私が「この相手方は取引先ですか?」と確認すると、半数以上は友人や趣味のコミュニティの知人でした。事業との関連性が薄いものを経費にしていたわけです。その後、税務署から問い合わせが来て、一部の経費を否認される事態になったと聞きました。節税のつもりが、追徴課税と加算税で逆に損をしてしまった典型的な失敗です。
私自身が民泊立ち上げ時にやった「減価償却の失念」
2022年に東京都内で民泊事業を始めた際、エアコンや家具を複数購入しました。当時、私は個人事業の経費処理に慣れていたつもりでしたが、法人の1期目の決算で気付いたことがあります。10万円以上30万円未満の備品を「少額減価償却資産の特例」で一括計上できるのに、通常の減価償却で処理していたものがありました。
中小企業者等の少額減価償却資産の特例(租税特別措置法第28条の2)を使えば、取得価額30万円未満の資産は取得年度に全額損金(経費)にできます(年間の合計額に上限あり、適用要件の確認が必要)。私はこの特例を一部の備品で使い忘れ、その年の節税効果を数万円分取りこぼしました。今では税理士との確認を欠かさないようにしています。専門家への相談は、こういう見落としを防ぐ意味でも価値があります。
見落としやすい経費10選|確定申告で毎年損している項目
意外と知られていない経費5項目
多くの個人事業主が見落としている経費があります。以下の5項目は計上漏れが起きやすく、私も相談者に確認するたびに「知りませんでした」と言われることが多い項目です。
- 健康診断費用:事業主が業務遂行のために受ける健診費用は、経費計上できる場合があります(従業員と同様の基準で受診するケース)。
- 名刺・印刷費:業務用の名刺や資料の印刷代は「消耗品費」または「広告宣伝費」として計上可能です。
- Webサイト運営費:ドメイン費・サーバー代・ウェブデザイン外注費は経費です。
- 銀行振込手数料・決済手数料:取引上発生する金融コストは「支払手数料」で計上できます。
- 専門家報酬:税理士・社労士・弁護士へ支払う報酬は「支払報酬」として全額経費になります。
これら5項目だけで、年間5〜15万円以上の経費を積み増せる可能性があります(金額は事業規模や利用状況によって個人差があります)。
見落としやすい経費・追加5項目
さらに見落とされがちな5項目を挙げます。
- クレジットカードの年会費:事業用カードの年会費は全額経費です。
- 業界団体・協会の会費:仕事に関連する団体への加入費や年会費は「諸会費」で計上できます。
- 文房具・事務用品:日常的に購入しているボールペンやノートも業務用は経費です。
- 郵送・宅配費:請求書や資料を送付するための郵便代・宅配便代は「通信費」として計上できます。
- ストレージ・クラウドサービス費:DropboxやGoogleワークスペースなど業務用クラウドは経費対象です。
これらは1件あたりの金額は小さくても、積み重なると年間で相当な金額になります。私の法人では毎月の固定費を一覧化しており、抜け漏れをチェックしています。法人化せず節税できる10の方法|フリーランス必読
家事按分の正しい計算方法|根拠のある割合設定が節税の鍵
家事按分で使える3つの計算基準
家事按分とは、プライベートと仕事の両方に使う支出を、事業に使った割合だけ経費として計上する方法です。所得税法上、合理的な基準であれば認められます。ここで重要なのが「合理的な根拠」です。感覚での按分割合は、税務調査の際に否認される可能性があります。
代表的な計算基準は3つあります。①面積割合(自宅の使用面積)、②時間割合(1日の事業利用時間÷総利用時間)、③使用頻度割合(月間の通話時間や通信データ量)です。たとえば自宅の総面積60㎡のうち書斎12㎡を仕事に使っているなら、20%が按分割合になります。家賃が月12万円なら、2万4,000円を毎月経費計上できます。年間で約29万円です。
按分割合は「記録」で守る
AFP資格を持つ私の立場から言うと、家事按分の割合そのものより「なぜその割合なのか」を説明できることが大切です。税務調査では、根拠の説明を求められます。
私が実践しているのは、按分割合の計算過程をスプレッドシートに残しておく方法です。「書斎12㎡÷総面積60㎡=20%」という式と、平面図のスクリーンショットを保存しています。これがあるだけで説明のしやすさが格段に変わります。通信費の場合は、スマホの通話記録や利用明細を3カ月分保存しておき、業務利用分の割合を算出する方法が根拠として機能します。個別の税額・控除額は事業内容や状況によって異なるため、詳細は税理士への相談をおすすめします。開業1年目の確定申告|注意すべき5つのポイント
まとめ|おすすめ経費15項目の活用と確定申告の効率化
おすすめ経費15項目チェックリスト
- 通信費(スマホ・インターネット回線)
- 地代家賃(家事按分)
- 車両費(ガソリン・駐車場・車検)
- 書籍・雑誌代(新聞図書費)
- セミナー・研修費
- クラウドソフト・サブスクリプション費
- 接待交際費(事業関連の飲食のみ)
- 広告宣伝費(名刺・Webサイト)
- 専門家報酬(税理士・弁護士等)
- 健康診断費用(事業主本人の業務関連分)
- 銀行・決済手数料(支払手数料)
- 業界団体・協会の会費
- 文房具・事務用品(消耗品費)
- 郵送・宅配費(通信費)
- 少額減価償却資産(30万円未満の備品一括計上)
上記15項目は、個人差はあるものの多くの個人事業主にとって計上可能な経費として活用できる可能性が高い項目です。まずは自分の支出を振り返り、計上漏れがないか確認することから始めてください。
経費管理を自動化して確定申告の手間を減らす
経費をもれなく拾い、正確に確定申告に反映するためには、日常的な記録の仕組みが欠かせません。私が法人の経費管理で実感しているのは、クラウド会計ソフトの利便性です。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、支出の取り込みが自動化され、勘定科目の振り分けも学習機能で補助されます。
手入力で時間を使うより、ソフトを使って記録の精度を上げ、その時間を事業に使う方が生産性の観点でも合理的です。確定申告の期限直前に慌てて領収書を整理する作業から解放されたいなら、今すぐ環境を整えておくことをおすすめします。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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