個人事業主の節税術20選|効果があった優先順位

「節税したいけど、何から手をつければいいかわからない」という個人事業主・フリーランスの方は多いはずです。私はAFP資格を持ち、保険代理店時代に数百件の資金相談を受けてきました。現在は東京都内で法人を経営しながら民泊事業も運営しています。その経験から断言できます。個人事業主の節税は「優先順位」が命です。この記事では、実際に効果のあった20の策を優先度順に整理しました。

節税の全体マップ|個人事業主が押さえるべき3つの軸

節税は「所得を減らす」「税率を下げる」「税額控除を使う」の3軸で考える

節税の仕組みを正しく理解していない方は、驚くほど多いです。節税とは「課税所得を合法的に圧縮する行為」であり、大きく3つのルートがあります。①経費計上で所得そのものを減らす、②所得控除を積み上げて課税所得を下げる、③税額控除を使って計算後の税額を直接削る、この3軸です。

この3軸を意識せずに「とりあえる経費を増やそう」と動くと、効率が最悪になります。たとえば税率が20%の方が1万円の経費を積んでも節税額は2,000円ですが、所得控除で課税所得を10万円下げれば2万円の節税になります。どこに力を入れるかで、結果が10倍変わることもあります。

節税の「優先度」を決める4つの判断基準

節税施策を選ぶ際、私が使う判断基準は4つです。①節税効果の絶対額が大きいか、②手続きが簡単か、③お金が手元から出ていくかどうか、④リスク(税務調査リスク・流動性リスク)はないか、以上です。

この基準で20の策をスコアリングすると、後述するように「小規模企業共済」「iDeCo」「青色申告特別控除」が最上位に来ます。一方、「節税保険」や「過剰な交際費計上」は効果が小さい割にリスクが高く、最下位です。優先順位を決めてから動く。これがAFPとして私が一貫して伝えてきたアドバイスです。

私が保険代理店時代・民泊経営で直面した節税の現実

保険代理店時代に見た「節税の失敗パターン」

総合保険代理店で働いていた3年間、個人事業主やフリーランスの方から資金・税務相談を受け続けました。その中で最も多かった失敗パターンは「節税名目で不要なものを買う」でした。ある40代のデザイナーの方(仮称:Aさん)は、年収が800万円超えた年に「節税になると聞いた」という理由だけで、ほとんど使わない高額な業務用機器を年末に一括購入していました。

確かに経費にはなりますが、30万円の機器を買って節税できるのは税率30%として9万円。手元からは21万円が消えています。「節税のために損をしている」状態です。私はその時、「節税は手段であって目的ではない」という言葉を、それ以降の相談で必ず最初に伝えるようにしました。

民泊事業を立ち上げた時に気づいた「法人との節税格差」

東京都内でインバウンド向けの民泊事業を法人で立ち上げた際、個人事業主時代との節税の「自由度の違い」を痛感しました。個人事業主として活動していた時は、所得税の累進課税で最高45%(住民税含めると55%)の壁が立ちはだかっていましたが、法人化後は役員報酬の設定や退職金制度の活用で実効税率を大幅に下げられました。

ただし、法人化が最適解とは限りません。年間の課税所得が概ね800万円を超えるあたりから法人化のメリットが出てきますが、それ以下では社会保険料の増加などコストが節税効果を上回るケースも多い。この数字の感覚は、実際に自分で法人決算を経験して初めて体感できたものです。個人事業主としての節税を極めることが、法人化の判断をする前の大前提です。

優先度「高」10策|まずここから始める個人事業主の節税

節税効果が最大級の4大制度を使い切る

優先度「高」の筆頭は、以下の4制度です。順に解説します。

①青色申告特別控除(最大65万円):e-Tax提出と複式簿記の条件を満たすだけで、課税所得から65万円が控除されます。所得税率20%の方なら単純計算で13万円の節税。これをやらない理由はありません。

②小規模企業共済(月最大7万円):掛け金全額が所得控除になります。年間84万円を上限に全額控除できるため、税率20%なら最大約16.8万円の節税。将来の退職金にもなる一石二鳥の制度です。私も法人経営者として加入しており、節税効果を毎年実感しています。

③iDeCo(個人型確定拠出年金):個人事業主は月最大6.8万円(年81.6万円)まで掛け金が全額所得控除。60歳まで引き出せないデメリットはありますが、節税効果は絶大です。

④経費の正確な計上(家賃・通信費・光熱費の按分):在宅ワークをしている方が家賃の按分計上を怠ると、年間で数十万円の経費を取り損ねている可能性があります。按分割合は「使用面積÷全体面積」や「使用時間÷総時間」で合理的に算出することが必要です。

見落としがちだが確実に効く残り6策

⑤青色事業専従者給与:配偶者や家族が事業を手伝っている場合、適正な給与を経費として計上できます。扶養控除との兼ね合いは要注意ですが、所得の分散効果は大きいです。

⑥国民健康保険料の全額控除:個人事業主が払う国民健康保険料は、社会保険料控除として全額が所得控除になります。見逃している方が意外に多い項目です。

⑦国民年金・国民年金基金:国民年金の保険料も全額社会保険料控除。さらに国民年金基金は月最大6.8万円(iDeCoと合算)まで追加で積み立てができ、全額控除の対象です。

⑧生命保険料控除(最大12万円):一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3区分で、合計最大12万円(所得税)の控除が受けられます。保険代理店時代に「保険に入っているのに申告していない」という方が約3割いたことには、驚きを超えて危機感を覚えました。

⑨ふるさと納税(ワンストップ特例または確定申告):確定申告をする個人事業主なら、ワンストップ特例より確定申告で申請する方が手続きがシンプルです。実質2,000円で返礼品が受け取れ、節税効果も得られます。

⑩医療費控除(年間10万円超から):本人だけでなく生計を一にする家族の医療費も合算できます。セルフメディケーション税制との選択適用も検討しましょう。

優先度「中」5策|効果はあるが条件と手間を確認してから動く

減価償却・少額減価償却資産の特例を正しく使う

青色申告をしている個人事業主は、30万円未満の備品・設備を一括で経費計上できる「少額減価償却資産の特例」が使えます(年間合計300万円まで)。この特例、「知らなかった」という方が保険代理店時代の相談者にも多く、数十万円の取り損ねを後から気づくケースを何度も見てきました。

ただし「節税のために無理に買う」のはNGです(前述のAさんの失敗談を思い出してください)。本当に必要なものを、必要なタイミングで購入し、特例を使って経費化する、この順番を守ることが重要です。法人化せず節税できる10の方法|フリーランス必読

自宅兼事務所の経費按分・車両費・交際費を精緻化する

優先度「中」の残り4策は、⑫車両の按分経費(事業使用割合を記録する走行日誌が必須)、⑬接待交際費(事業に直接関係する相手との飲食のみ)、⑭研修・書籍費(スキルアップに直結するものは全額経費)、⑮ソフトウェア・サブスク費用(クラウド会計ソフト・デザインツールなど)です。

これらは「事業関連性の証明」が求められるため、レシートの保管と目的のメモが必須です。私は民泊事業の経費管理でクラウド会計ソフトを導入してから、按分計算と帳簿作成の時間が週3時間から30分に短縮されました。後述するマネーフォワード クラウド確定申告はその際に導入したツールです。

優先度「低」5策とやらない方がいい節税|リスクと効果を正直に伝える

優先度「低」の5策|効果が限定的または条件が厳しい

⑯雑損控除(災害・盗難時のみ)、⑰寄付金控除(認定NPO・政党等への寄付)、⑱配偶者控除・扶養控除の最適化(所得配分の調整)、⑲住宅ローン控除との併用最適化(自宅兼事務所の場合)、⑳特定の共済・組合への加入(業種限定のものが多い)、以上が優先度「低」です。

これらは「該当する状況ならやるべき」ですが、当てはまらない人が無理に使おうとすると手間だけがかかります。優先度「高」と「中」を完全に使い切ってから検討するのが正しい順番です。開業1年目の確定申告|注意すべき5つのポイント

やらない方がいい節税|税務調査リスクが高い3つのパターン

断言します。以下の3つは「節税」ではなく「脱税予備軍」です。①プライベートの飲食・旅行を無理やり経費化する、②実態のない家族への給与を計上する、③解約返戻金目的で節税効果が低い保険に加入する(いわゆる「節税保険」の多くは2019年の国税庁通達改正で封じられています)。

保険代理店時代、「この保険で節税できる」と勧められて数百万円の保険料を払い込み、通達改正後に経費処理が認められなくなって慌てた相談者を複数見てきました。AFP・宅建士として言い切りますが、グレーゾーンを狙った節税は、税務調査の加算税・延滞税リスクを考えると割に合いません。合法・確実な手段を積み重ねる方が、長期的な手残りは圧倒的に大きくなります。

まとめ|個人事業主の節税は「順番」と「記録」が全て

今日から動ける節税チェックリスト

  • 青色申告(65万円控除)に切り替えているか
  • 小規模企業共済に加入しているか(未加入なら今月中に申し込む)
  • iDeCoを最大限(月6.8万円)活用しているか
  • 国民健康保険料・国民年金を確定申告で控除申請しているか
  • 生命保険料控除証明書を全て申告書に反映しているか
  • 30万円未満の備品は少額減価償却資産の特例を使っているか
  • 経費の按分計算を合理的な根拠で記録しているか
  • 節税効果よりリスクが高い施策に手を出していないか

帳簿と申告の手間を減らしてこそ節税効果が最大化する

節税の知識がいくらあっても、帳簿が整理されていなければ申告時に使い切れません。私が民泊事業の経費管理で実感したのは「記録の自動化」が節税効果を底上げするという事実です。レシートの取り込みから仕訳・確定申告書の作成まで一気通貫でできるツールを使えば、見落としがちな控除も漏れなく拾えます。

個人事業主・フリーランスの方に私が自信を持ってすすめるのが、マネーフォワード クラウド確定申告です。銀行口座・クレジットカードと連携すれば経費の仕訳が自動化され、確定申告書の作成もガイドに沿って進めるだけ。まずは無料プランから始めて、使い勝手を確認してください。

無料の確定申告自動化ソフト マネーフォワード クラウド確定申告

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・フリーランスの資金相談を多数担当。現在は東京都内で法人を経営し、インバウンド向け民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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