予定納税減額申請のやり方|個人事業主5年目が実践した3ステップ

予定納税の通知書が届いたとき、「今年は売上が落ちているのに、なぜ去年と同じ金額を払わないといけないのか」と感じた経験はありませんか。個人事業主として5年目を迎えた私、Christopher(AFP・宅地建物取引士)が実際に減額申請を行い承認を受けた手順と、初回申請で一度却下されかけた失敗談を包み隠さずお伝えします。

予定納税・減額申請とは何か――個人事業主が知るべき基本

予定納税の仕組みと納付スケジュール

予定納税とは、前年の確定申告で算出された所得税額(予定納税基準額)が15万円以上だった場合に、国が翌年の税額をあらかじめ分割して前払いさせる制度です。第1期は7月1日〜7月31日、第2期は11月1日〜11月30日が納付期限となっており、それぞれ前年の基準額の3分の1ずつを納めます。

個人事業主にとって頭が痛いのは、前年に売上が好調だったからといって今年も同じ収入が続くとは限らない点です。私も開業3年目に案件が一気に集中して高収入になった翌年、翌年度の予定納税で資金繰りが一時的に逼迫した経験があります。予定納税はあくまで「概算の前払い」であり、実際の税額と大きく乖離することが珍しくありません。

減額申請で取り戻せる金額の目安

予定納税の減額申請とは、当年の所得が前年を下回ると見込まれる場合に、前払い額を実態に合わせて減らすよう税務署に求める手続きです。所得税法第111条に根拠があり、正式名称は「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額の申請書」といいます。

一般的な目安として、承認されれば前年基準額の3分の1ずつという納付義務が、当年の見積税額の3分の1ずつ(第1期)または3分の2(第2期)に置き換わります。たとえば前年基準額が90万円だった場合、今年の見積税額が60万円なら第1期の納付額は30万円から20万円へ減らせる計算になります(個人差があります。具体的な金額は税理士等の専門家にご確認ください)。

私が承認された実例と、一度失敗した記載ミス

前年比30%減の収入見込みで申請した時のリアル

総合保険代理店を退職し、個人事業主として独立して5年目のことです。インバウンド需要の回復期に民泊事業へ軸足を移し始めたタイミングで、メインのコンサルティング案件が2件ほど終了しました。年間売上の見込みが前年の約70%水準まで落ちると試算した私は、第1期の減額申請に踏み切りました。

申請書の「当年分の所得の見積額」欄に記載した金額は、1月から6月までの実績値と、残り6ヶ月の受注見込みを積み上げたものです。受注見込みについては、締結済みの業務委託契約書と見積書のコピーを添付資料として持参しました。税務署の窓口で担当者から「この金額の根拠はありますか」と聞かれた時、手元にエビデンスが揃っていたのは非常に助かりました。結果として第1期分の予定納税を約33%減額する形で承認されました。

初回申請で却下されかけた失敗談――「見込み」だけでは甘かった

実は個人事業主4年目の申請では、一度税務署から「確認が必要」と言われ、窓口でのヒアリングを求められました。その時の申請書の記載が「売上は減少見込み」という定性的な表現に終始しており、数字の根拠を何も添付していなかったのです。

保険代理店時代にフリーランスのクライアントから「減額申請が通らなかった」という相談を複数受けていたにもかかわらず、自分が当事者になった時に同じ失敗をしました。この経験から、申請書には必ず「いつ、いくらの収入が見込まれるか」を数字で記載し、可能であれば契約書や注文書の写しを同封することを強くお勧めします。

減額申請ができる3つの条件と申請書の書き方3ステップ

申請が認められる条件を正確に把握する

国税庁の定めによると、減額申請が認められる主な条件は次のとおりです。第一に、廃業・休業・失業など事業の大幅縮小があること。第二に、本年の所得が前年と比べて著しく減少すると見込まれること。第三に、災害・盗難・横領による損失が生じたこと、あるいは多額の医療費支出などの控除増加が見込まれること、です。

「著しく減少」の基準について国税庁は明示していませんが、実務上は前年比でおおむね2〜3割以上の減少が見込まれるケースで申請が受け入れられやすいとされています(あくまで一般的な傾向であり、個別の判断は税務署または税理士にご相談ください)。売上の減少だけでなく、青色申告特別控除の金額変動や、大きな経費増加が見込まれる場合も根拠になり得ます。

申請書の書き方3ステップ

ステップ1は「当年の所得見積額を計算する」ことです。1月から申請月までの実績をまず集計し、残りの期間は受注済み案件と合理的な受注予測をもとに積み上げます。私は毎月の売上をスプレッドシートで管理していたので、実績部分の集計は30分もかかりませんでした。マネーフォワード クラウド確定申告のような会計ソフトを使っていれば、損益推移の確認はさらに短時間で済みます。

ステップ2は「見積税額を算出する」ことです。見積所得額から所得控除を差し引いた課税所得に税率を乗じて、概算の税額を計算します。ここでは前年の確定申告書を手元に置きながら、控除項目に変動がないか確認するのがポイントです。予定納税の計算は複雑になりがちなので、迷った場合は税理士や最寄りの税務署の無料相談を積極的に活用してください。

ステップ3は「申請書に記載して提出する」ことです。申請書は国税庁のウェブサイトからダウンロードするか、税務署窓口で入手できます。第1期分の減額を申請する場合の提出期限は7月1日〜7月15日、第2期分は11月1日〜11月15日です。期限を1日でも過ぎると受け付けてもらえないため、カレンダーにリマインダーを設定しておくことを強くお勧めします。法人化せず節税できる10の方法|フリーランス必読

却下を防ぐ5つのチェックポイント

提出前に必ず確認すべき記載内容

チェック1は「提出期限内か」です。前述のとおり第1期は7月15日、第2期は11月15日が期限です。チェック2は「見積所得額に根拠となる数字が記載されているか」です。「減少する見込み」という定性表現だけでは不十分で、「1〜6月の実績◯円+残り期間の見込み◯円=合計◯円」という形で内訳を示します。

チェック3は「添付できる証拠書類を用意しているか」です。私が有効だと感じたのは、①売上台帳や帳簿の抜粋、②締結済みの業務委託契約書または注文書の写し、③病気・怪我による休業の場合は診断書、の3種類です。チェック4は「前年の確定申告書の控えを手元に置いているか」です。予定納税基準額の欄は確定申告書の第1表に記載されています。チェック5は「電子申告(e-Tax)か書面提出かを確認しているか」です。e-Taxで申請する場合も、添付書類を別途送付または窓口持参が必要なケースがあるため、事前に管轄税務署に確認します。

保険代理店時代の相談事例――申請を知らずに払いすぎた人たち

総合保険代理店に勤務していた3年間、フリーランスや個人事業主の資金相談を担当する中で、予定納税の減額申請制度を知らずに毎年数十万円を前払いしていた方のケースに何度か遭遇しました。ある案件では、体調不良で半年以上休業したにもかかわらず申請をしなかった結果、後に確定申告で還付を受けることにはなったものの、その半年間の資金繰りが大きく悪化してしまっていました。

還付されるとはいえ、確定申告の翌年3月以降まで資金が戻らないのでは、事業の継続に支障が出かねません。予定納税の減額申請は、いわば「払いすぎを事前に防ぐ正当な権利」です。要件に該当するなら、遠慮なく申請するべきです。確定申告と予定納税の関係をより詳しく知りたい方は、こちらの解説記事も参考にしてください。開業1年目の確定申告|注意すべき5つのポイント

まとめ+予定納税の管理をラクにする次のアクション

この記事で押さえるべき5つのポイント

  • 予定納税は前年所得税額が15万円以上の場合に発生し、第1期(7月)・第2期(11月)に分割前払いする制度である。
  • 当年の所得が前年を下回ると見込まれる場合は、所得税法第111条に基づいて減額申請を行う権利がある。
  • 申請書には「見積所得額の内訳を数字で」記載し、契約書や帳簿の抜粋など根拠書類を添付するのが承認への近道。
  • 第1期の申請期限は7月1日〜15日、第2期は11月1日〜15日。期限厳守が大前提。
  • 制度を知らずに払いすぎると資金繰りが悪化する。要件を満たすなら迷わず申請を。

会計ソフトで予定納税の管理を自動化しよう

減額申請の見積額を計算する際、日々の売上・経費データが整っていれば作業時間は大幅に短縮されます。私自身、民泊事業と個人事業の両方を管理するうえで会計ソフトの導入は不可欠でした。売上実績を月次で把握できていれば、6月末時点で「今年は申請すべきか」の判断が素早くできます。

無料プランから始められてfreeeやマネーフォワードなど複数の選択肢がありますが、確定申告書の自動作成機能と損益推移の確認のしやすさを重視するなら、マネーフォワード クラウド確定申告は検討する価値があります。予定納税の管理から確定申告まで一元化することで、申請書作成に必要なデータを手元に揃える手間が大幅に減ります。まずは無料で試してみてください。

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筆者:Christopher(クリストファー)/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・フリーランスの資金相談を多数担当。現在は東京都内で法人を経営し、インバウンド向け民泊事業を運営中。現役の経営者・事業者として、資金調達と節税の実務を多角的に発信している。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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