経費計上の処理で「2026年からまた何か変わるのか」と不安になっていませんか?電子帳簿保存法の宥恕期間が完全に終了し、インボイス制度も2年目に入った2026年は、個人事業主にとって確定申告の実務が大きく変わる節目です。AFP資格を持つ私・Christopherが、実体験と5年分の確定申告の経験をもとに、経費2026の変更点を12項目で具体的にお伝えします。
2026年・経費計上に関わる主要な変更点
電子帳簿保存法の猶予期間終了で何が変わるのか
2026年1月1日以降、電子取引データの紙印刷保存が原則として認められなくなりました。これは多くの個人事業主にとって想定以上のインパクトがあります。具体的には、電子メールで受け取った領収書や、ECサイトからダウンロードした請求書をPDFのまま保存・管理しなければならないということです。
要件としては、①検索機能の確保(日付・金額・取引先で検索できること)、②タイムスタンプの付与または訂正削除履歴が残るシステムの利用、③システム概要書などの備え付け、この3点が柱になります。「プリントアウトしてファイリングすればいい」という以前のやり方は、税務調査の際に問題になる可能性が高いため、今すぐ運用を見直すべきです。
インボイス制度2年目に生じる経費計上の注意点
2023年10月に始まったインボイス制度も、2026年度の確定申告では「2年目の落とし穴」が顕在化します。経過措置として2026年9月30日まで認められている「80%控除」の取り扱いです。インボイス未登録の取引先に支払った費用は、仕入税額控除が80%しか認められない経過措置が続いています。この点を見落とすと、消費税の納付額が想定より増える可能性があります。
また、個人事業主が自らインボイス登録事業者である場合、2割特例(消費税の負担を売上税額の2割に抑える特例)が2026年9月30日分の申告まで使えます。この期限を正しく把握していない方が、保険代理店時代の相談でも多くいました。自分がどの立場にあるかを今一度確認することを強く勧めます。
私が混乱した経費区分3例――保険代理店・民泊運営の現場から
保険代理店でフリーランスの相談を受けていた時に見た「按分ミス」
総合保険代理店に勤めていた3年間で、自宅兼事務所で働くフリーランスの方から「家賃を全額経費にしていた」という相談を複数受けました。事務所として使っている部屋の面積が全体の20%程度にもかかわらず、家賃12万円の全額を経費計上していたケースがあります。按分の考え方を知らなかっただけですが、税務調査で指摘されると過去数年分の修正申告につながるリスクがあります。
家賃の按分は「事業使用面積÷総床面積」が基本です。一般的な目安として、6畳の部屋を4LDK(約80㎡)のうち事務所として使う場合、按分率はおよそ15〜20%程度になります(個人の状況により異なります)。正確な計算は税理士への相談を推奨しますが、全額計上だけは避けるべきです。私自身、民泊事業を立ち上げた際に東京都内の物件取得費用や修繕費の按分処理で税理士に確認を取り、認識の甘さを思い知らされた経験があります。
民泊運営で直面した「修繕費か資本的支出か」問題
私が現在運営しているインバウンド向け民泊事業で、2023年に壁紙の全面張り替えと給湯設備の交換を行いました。合計で約65万円の工事費が発生した時、これを修繕費(その年の経費)として計上すべきか、資本的支出(減価償却)として処理すべきかで正直かなり悩みました。
国税庁の通達では、1つの修繕に係る費用が20万円未満であれば修繕費として処理できる、という目安があります。ただし、今回のように複数の工事が重なり合計が高額になると、それぞれの工事の性質を個別に判断する必要があります。給湯設備の交換は機能向上を伴うため資本的支出と判断し、壁紙は維持補修として修繕費に分けて処理しました。この区分を間違えると、減価償却の計算が狂い、複数年にわたって経費計上の額が変わります。迷ったら単独で判断せず、専門家への相談を強く勧めます。
個人事業主が計上できる12項目の実例
見落としやすい6項目――意外と申告できる経費
経費として計上できるにもかかわらず、見落とされがちな項目が多く存在します。以下の6項目は、保険代理店時代の相談でも申告漏れが多かったものです。
- ①自宅家賃の按分(事業使用部分のみ)
- ②スマートフォン・通信費の按分(仕事使用割合分)
- ③業務に関連する書籍・セミナー受講料(研修費)
- ④取引先との打ち合わせ飲食代(交際費:5,000円基準に注意)
- ⑤健康診断費用(業務遂行のために必要と認められる場合)
- ⑥クレジットカードの年会費(事業用カードに限る)
特に⑤の健康診断費用は、個人事業主本人の場合は一般的に経費として認められにくいとされています。一方、従業員がいる場合の健康診断費用は福利厚生費として計上できます。判断が難しい場合は「一般的な目安」として把握しつつ、税理士に確認することを推奨します。法人化せず節税できる10の方法|フリーランス必読
基本的な6項目――正しく区分して漏れなく計上する
毎年確実に計上すべき基本的な6項目も整理しておきます。
- ⑦地代家賃(事務所・店舗の賃料)
- ⑧水道光熱費(事業使用割合分)
- ⑨旅費交通費(業務上の移動費・交通系ICカードの明細を保存)
- ⑩消耗品費(10万円未満のパソコン・周辺機器等)
- ⑪広告宣伝費(SNS広告・名刺・チラシ制作費)
- ⑫外注費・業務委託費(インボイス対応の確認も必要)
⑫の外注費については、2026年時点でもインボイス未登録の外注先への支払いは80%しか仕入税額控除ができません。また、外注費として計上していても、税務調査で「実態は給与(雇用関係あり)」と判断されると、源泉徴収義務が生じるリスクがあります。継続的・専属的な関係がある外注先については、契約書の整備と区分の明確化を怠らないことが大切です。
電子帳簿保存の実務手順――私が実際に導入した方法
スキャン保存とクラウド管理の具体的なフロー
私自身が民泊事業の経理で2024年から本格導入した電子帳簿保存のフローをお伝えします。紙で受け取った領収書はスマートフォンのアプリでその場でスキャンし、クラウド会計ソフトに自動取り込みする形にしています。ポイントは「受け取ったその日にスキャン」という習慣化で、これが崩れると月末にまとめてスキャンする羽目になり、日付・取引先の正確性が下がります。
電子帳簿保存法で求められる「真実性の確保」のために、クラウド会計ソフトのタイムスタンプ機能を活用しています。訂正や削除の履歴が自動的に残るシステムであれば、タイムスタンプの別途付与は不要なケースもあります。ただし、使用するソフトが電子帳簿保存法に対応しているかを事前に確認することが不可欠です。
電子取引データの検索要件を満たすための整理術
電子帳簿保存法の実務でつまずきやすいのが「検索機能の確保」です。要件として、①取引年月日、②取引金額、③取引先名称の3項目で検索できることが定められています。クラウド会計ソフトを使っていれば、この3項目は自動的に入力・管理されるため、個別対応の手間はほぼかかりません。
問題は、会計ソフト外で受け取るメール添付の請求書や、AmazonビジネスなどのECサイトから取得するPDF領収書です。これらはクラウドストレージに保存する際に、ファイル名を「20260315_Amazon_15400円.pdf」のように「日付_取引先_金額」の形式で統一することで検索要件を満たせます。私はこのルールを社内で徹底したことで、確定申告前の書類確認時間が大幅に短縮されました。開業1年目の確定申告|注意すべき5つのポイント
AFPが教える申告前チェック――まとめとCTA
2026年確定申告で個人事業主が見直すべき5つのポイント
- 電子取引データを紙印刷ではなくデータで保存・管理できているか
- インボイス未登録の取引先への支払いで80%控除の経過措置を正しく適用しているか
- 家賃・光熱費・通信費などの按分比率を事実に基づいて設定しているか
- 修繕費と資本的支出の区分を適切に判断しているか(迷う場合は税理士へ)
- 外注費・業務委託費の実態が「雇用」と判断されるリスクはないか
AFP・宅地建物取引士として、また5年間自ら確定申告を続けてきた立場から言うと、経費2026の対応で個人事業主がつまずく原因の8割以上は「記録の習慣化不足」と「区分の認識ミス」に集中しています(私自身の経験と相談業務から得た感覚値です)。難しい制度の話よりも先に、日々の記帳と書類整理の仕組みを整えることが、確定申告の負担を下げる近道です。
会計ソフトで仕組み化する――手間を減らして申告精度を上げる
私が民泊事業の経理で実感したのは、クラウド会計ソフトの導入が電子帳簿保存法対応と経費計上の精度向上を同時に解決してくれるという点です。銀行口座やクレジットカードと自動連携することで、取引データが自動的に取り込まれ、勘定科目の仕訳も学習機能で効率化されます。確定申告書の作成まで一括対応できるため、申告前の追い込み作業が劇的に減りました。
経費の計上漏れや電子帳簿保存の要件対応に不安があるなら、まず会計ソフトの無料プランで試してみることを勧めます。使い続けながら自分の経理の課題が浮き彫りになり、税理士に相談する際の質問も整理されてきます。個人差はありますが、導入を早めるほどその恩恵を受けられる期間が長くなります。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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