株式会社設立を司法書士に依頼するといくらかかるのか、私自身が2026年に資本金100万円で東京都内に法人を設立した経験から正直に解説します。司法書士報酬の相場は5〜10万円と言われますが、その「5万円の差」がどこから生まれるのかを知らずに依頼すると、後から後悔する可能性があります。会社設立費用の全体像から依頼判断の基準まで、実務視点でお伝えします。
株式会社設立の司法書士費用相場は5〜10万円が目安
司法書士報酬の内訳と相場の根拠
株式会社の設立を司法書士に依頼した場合、司法書士報酬の相場は一般的に5万円〜10万円程度です。日本司法書士会連合会によると、2004年に報酬規定が廃止されて以降、各事務所が自由に料金を設定できるため、この幅が生まれています。
報酬そのものに加えて、会社設立には「実費」が別途かかります。具体的には、定款認証にかかる公証人手数料(資本金100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満は4万円、300万円以上は5万円)と、登記費用である登録免許税(資本金の0.7%、最低15万円)です。私が法人を設立した際、資本金100万円で登録免許税は15万円、定款認証費用は4万円かかりました。
つまり、司法書士に依頼した場合の会社設立費用の総額は、実費だけで約19〜20万円、そこに司法書士報酬5〜10万円が乗る形になります。合計で24万円〜30万円が現実的な目安と考えてください。
「5万円の差」はどこで生まれるのか
同じ株式会社設立の依頼でも、なぜ5万円もの差が出るのか。答えは「業務範囲と対応の手厚さ」にあります。
報酬が低め(5〜6万円程度)の事務所は、定款作成・定款認証立会い・登記申請という3つの基本業務に絞り込んでいるケースが多いです。一方、報酬が高め(8〜10万円程度)の事務所は、会社の印鑑証明取得サポート、登記完了後の法人口座開設書類の整備補助、さらに税理士や社会保険労務士への紹介まで含む場合があります。
私が依頼した司法書士事務所は報酬7万円でしたが、登記完了後に「登記事項証明書の取得方法」を丁寧に説明してくれました。この一手間が後々、法人口座開設でつまずかなかった理由の一つだったと感じています。単純に安さだけで選んでいたら、別途調べる時間が相当かかっていたはずです。
法人化を自分でやった場合との費用差と、私が感じたリアル
自力設立で削れる金額は「報酬分だけ」という現実
「自分で設立すれば司法書士報酬の5〜10万円が丸ごと浮く」と考える方は多いです。確かに登記費用(登録免許税・定款認証費用)などの実費は自力でも同額かかりますから、削れるのは司法書士報酬の部分だけです。
ただし、「時間コスト」を忘れてはいけません。法務省の申請書類は種類が多く、定款の記載ミスがあると公証人役場でのやり直しが発生します。私の法人設立時、事前に書類を自分でも確認しましたが、発起人の印鑑証明書の取得枚数の考え方だけで30分以上悩みました。フリーランスとして稼働しながら設立作業を進める場合、この時間損失は実質的なコストになります。
時給換算で3,000円稼げる人が10時間費やせば、3万円分の機会損失が発生します。司法書士報酬5〜6万円との差は2〜3万円まで縮まる計算になるわけです。法人化コストは数字だけで比較すると見誤る典型例と言えます。
保険代理店時代に見た「自力設立で後悔した相談者」の話
私が総合保険代理店に勤めていた頃、フリーランスのWebデザイナーの方から「法人成りの手続きを自分でやったら書類不備で登記が1か月遅れた」という相談を受けたことがあります(個人が特定されない形で紹介しています)。
その方は法人化のタイミングに合わせてクライアントとの新契約を予定していたそうです。ところが、法人口座が開設できない期間が1か月以上続き、取引先からの入金受け取りが遅延。資金繰りに影響が出て、法人化のメリットを実感する前に「こんなはずじゃなかった」という状況に陥っていました。
AFP(日本FP協会認定)として資金計画を一緒に確認した際、「5万円の報酬を惜しんだことで、実質的に10万円以上の機会損失が出た」と本人も振り返っていました。会社設立費用の節約は大切ですが、タイミングが伴う設立においては、登記の確実性を重視する判断が合理的な場合があります。
司法書士報酬に含まれる4つの業務範囲
基本3業務と、確認すべき追加サービス
司法書士に株式会社設立を依頼した場合、一般的に以下の3業務が報酬に含まれます。①定款の作成、②公証人役場での定款認証(電子定款対応の場合は印紙税4万円が不要になる点も確認を)、③法務局への設立登記申請の3つです。
電子定款に対応している司法書士事務所であれば、紙の定款で必要な収入印紙代4万円を節約できます。この点は見落とされがちですが、電子定款対応かどうかを事前に確認するだけで法人化コストを実質4万円削れる可能性があります。私が依頼した事務所も電子定款対応でしたが、確認しなければ当然のように紙で進められていたかもしれません。
追加サービスとして、会社の実印作成アドバイス、各種証明書の取得代行、役所への届出書類の案内などが含まれる事務所もあります。契約前に「報酬に含まれる業務の範囲を書面で確認する」習慣を持つことをお勧めします。独立1年目の失敗談|AFPが振り返る5つの反省点
登記費用(登録免許税)は報酬とは別物という認識が重要
登記費用として支払う登録免許税は、国に納める税金であり、司法書士報酬とは完全に別物です。ここを混同したまま「安い司法書士を見つけた」と喜ぶと、後から実費の請求書が届いて「話が違う」と感じるケースがあります。
私の設立時の内訳を整理すると、①登録免許税15万円(資本金100万円×0.7%、最低額適用)、②定款認証手数料4万円、③定款謄本代約2,000円、④司法書士報酬7万円、合計26万2,000円でした。このうち司法書士報酬は7万円であり、それ以外の約19万円は事務所の選択に関わらず同額かかる実費です。「安い事務所を選んで3万円節約」と「実費は変わらず19万円かかる」という2点をセットで理解してください。
依頼すべき4つの判断基準を実体験で整理する
依頼すべきケースと自力でも対応できるケース
すべてのフリーランス・個人事業主が司法書士に依頼すべきというわけではありません。AFPとして資金相談を多数担当してきた経験から、依頼を強くお勧めするのは以下の4つのケースです。
一つ目は「設立タイミングに取引先との契約や融資実行が絡んでいる」ケース。登記の完了が1日遅れるだけでスケジュール全体が狂う可能性があります。二つ目は「法人化と同時に許認可が必要な業種」のケース(建設業許可、宅建業者登録など)。三つ目は「代表取締役が複数いる」設立形態。四つ目は「定款に特殊な条項(株式譲渡制限以外のカスタマイズ)を盛り込む」場合です。
一方、一人で設立する標準的な株式会社であり、スケジュールに余裕があり、書類作成が苦でない方であれば、法務省の「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を活用して自力設立を検討する価値もあります。ただし、電子定款対応には別途費用と手間がかかる点は覚悟してください。
私が民泊事業の法人化で「依頼」を選んだ理由
私が東京都内でインバウンド向け民泊事業を法人化した際、司法書士への依頼を選んだ決め手は「住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出と法人設立のタイミングを同時に動かす必要があった」からです。
民泊の届出は都道府県知事への届出であり、法人として届け出るためには法人登記が完了していなければなりません。この2つのプロセスを並行して進める際に、法人登記のスケジュールを司法書士にコントロールしてもらうことは、私にとって非常に価値のある判断でした。司法書士報酬7万円に対して、届出が1か月遅れた場合の機会損失を比較すれば、報酬は十分に合理的なコストだと今でも思っています。会社員からフリーランスへ独立|3ヶ月の準備リスト
自分で判断に迷う場合は、まず相談料が無料の司法書士事務所(初回相談無料を掲げる事務所は都内でも多数あります)に話を聞きに行くことをお勧めします。個別の状況によってコストの考え方は異なるため、専門家への相談を活用してください。
まとめ:費用相場を知った上で、自分に合った判断を
この記事で押さえておきたい4つのポイント
- 株式会社設立の司法書士報酬の相場は5〜10万円。報酬の差は業務範囲と対応の手厚さで生まれる。
- 実費(登録免許税・定款認証費用)は約19〜20万円かかり、司法書士の選択に関わらず同額。自力設立で削れるのは報酬分だけ。
- 電子定款対応の司法書士に依頼すると収入印紙代4万円が不要になる。依頼前に電子定款対応の有無を確認すること。
- 設立タイミングに取引先や許認可が絡む場合は、時間コストを含めて司法書士への依頼が合理的な選択肢の一つになる。
法人化の前に「事業の土台」を整えよう
株式会社設立を検討している方の多くは、その前段階として個人事業主として活動しているか、これから活動を始める方です。法人化のタイミングや費用を正確に把握するためにも、個人事業主としての収支をしっかり管理しておくことが出発点になります。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。
【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆
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