海外不動産を日本人が買う流れ|宅建士がフィリピンで実体験した7ステップ

海外不動産を日本人が購入する流れは、国内の不動産取引とは似て非なるものです。私はAFP・宅地建物取引士として国内の不動産知識を持ちながら、2023年にフィリピン・オルティガスで約3,500万円のプレセール物件を購入しました。その実体験をもとに、物件選定から引き渡しまでの全7ステップと、送金・契約・税金の落とし穴を包み隠さずお伝えします。

海外不動産購入の流れを3分で理解する

日本の不動産取引と何が違うのか

宅建士として国内の売買契約を数多く見てきた私が最初に感じたのは、「手付金の性質がまるで別物だ」という驚きでした。日本では手付金は売買代金の5〜10%が相場で、宅建業法による保全措置が義務付けられています。しかしフィリピンを含む多くの海外市場では、法的な保全義務が存在しないか、あっても形骸化しているケースがあります。

また、日本では登記簿謄本で権利関係をほぼ完全に把握できますが、フィリピンではTCT(Transfer Certificate of Title)という土地権原証書が対応します。このTCTの真正性を確認せずに契約すると、二重売りや詐欺物件を掴まされるリスクがあります。海外不動産投資を検討するなら、まず「権利証の確認方法が国ごとに異なる」という大前提を頭に入れてください。

購入の全体像:7ステップの概要

私がフィリピン・オルティガスの物件を購入した際の流れを整理すると、次の7ステップになります。①市場リサーチと物件選定、②デベロッパーの信用調査、③予約金の支払い、④売買契約書(CTS)の締結、⑤海外送金による頭金支払い、⑥建設進捗の確認、⑦所有権移転と登記です。

プレセール物件の場合、③から⑦まで2〜5年かかることが多く、私の物件も竣工予定は2026年です。長丁場だからこそ、各ステップで何を確認すべきかを事前に把握しておくことが、海外不動産投資で損をしない最低条件になります。

私がフィリピンで物件を買った全7ステップ

ステップ①〜④:物件選定から契約締結まで

2022年秋、私は東京・新宿区でインバウンド向け民泊を運営しながら、次の資産形成先を探していました。円安が進行するなか、フィリピンペソ建ての資産を持つことで為替リスクを分散できると判断したのが出発点です。現地視察はオルティガス・センターを中心に3日間で6物件を回りました。

デベロッパーはフィリピン証券取引委員会(SEC)への登録状況と、過去の竣工実績をフィリピン住宅土地利用規制局(HLURB、現DHSUD)のデータベースで確認しました。宅建士の目線で言えば、これは日本の「業者票の掲示確認」に相当する最低限の与信調査です。信用力が確認できたデベロッパーの物件に絞り込み、2022年11月にオルティガスのプレセール物件を予約。予約金として約50万円相当(PHP換算)を現地銀行口座へ送金しました。

売買契約書(CTS:Contract to Sell)の締結は2023年1月です。契約書は英語43ページ。宅建士として読み込んだ結果、「買主に一方的に不利なキャンセル違約金条項」と「完成時期の定めが曖昧な文言」の2点を発見し、デベロッパーと3週間交渉して修正させました。この経験から断言できます。海外不動産の契約書は、必ず現地法に精通した弁護士と宅建士の両方の目でチェックしてください。

ステップ⑤〜⑦:送金・建設確認・登記の実務

頭金の送金は国内メガバンクを経由して行いましたが、ここで最大の失敗を経験します。詳細は次のセクションで述べますが、海外送金には「目的コードの記載」が必要で、これを誤ると送金が止まります。私は実際に1週間の遅延を経験し、ペナルティリスクを負いました。

建設進捗は四半期ごとにデベロッパーからレポートが届きますが、私は現地エージェントにも依頼して独自確認を続けています。民泊事業で培った「現地エージェントネットワーク」が、ここで活きています。登記(所有権移転)は竣工後に行われ、フィリピン側でDST(印紙税)や移転税が発生します。これらのコストも購入前に総コスト計算に組み込んでおくことが不可欠です。

失敗談:送金トラブルで1週間遅延した話

何が起きたのか:海外送金の「目的コード」の落とし穴

2023年3月、頭金の第1回支払いとして約250万円をフィリピンの指定口座へ送金した時のことです。私はSWIFT送金の申込書に目的コードを「その他サービス代金」と記載しました。しかし正しくは「不動産購入代金」に相当するコードを選ぶ必要があり、銀行のコンプライアンス部門から「送金目的の確認が取れない」として送金が保留されたのです。

連絡が来たのは送金申込から3日後。デベロッパーへの支払い期限まで残り4日という状況で、正直かなり焦りました。追加書類として売買契約書の英語版と物件の概要書を提出し、最終的に1週間遅れで送金が完了しました。デベロッパーへは事情を説明して待ってもらいましたが、もし期限を過ぎていたら延滞金が発生するところでした。

海外送金で事前に確認すべき3つの事項

この失敗から学んだ教訓を、海外不動産を購入しようとする日本人に向けて整理します。まず、送金目的コードは事前に取引銀行の国際送金担当者に「不動産購入の場合の正しいコードを教えてください」と確認することが必須です。銀行によってコード体系が異なるため、自己判断は危険です。

次に、送金の際は売買契約書・請求書・物件概要書の3点をセットで手元に準備しておくこと。銀行から追加書類を求められた際に即座に提出できれば、保留期間を最短にできます。最後に、支払い期限の2週間前には送金手続きを開始すること。「1週間前で十分」という甘い見込みが、私の失敗の根本原因でした。海外送金 不動産の取引では、時間的バッファを国内取引の倍以上に見積もることが鉄則です。2者間ファクタリングと3者間の違いと選び方

宅建士が見る契約書チェック5項目

絶対に見落としてはいけない条項とは

保険代理店に勤務していた頃、フリーランスのクライアントから「海外の不動産会社に勧められた契約書にサインしていいか」と相談を受けたことがあります。その方の契約書を見ると、「完成時期は変更できる」という一文が小さく記載されており、私はすぐに「これはサインしてはいけません」と伝えました。海外不動産投資では、デベロッパーに都合のよい曖昧な文言が散りばめられているケースが少なくありません。

宅建士として私が必ず確認する5項目は以下です。①完成予定日と遅延時のペナルティ条項、②キャンセル時の返金ルール(特に予約金・頭金の返還条件)、③管理費・修繕積立金の負担区分、④外国人の所有権に関する法的制限の明記、⑤紛争解決条項(どの国の裁判所を使うか)です。フィリピンでは外国人はコンドミニアム(区分所有建物)のみ購入可能で、土地の単独所有は法律で禁止されています。この制限がCTSに明記されているかを必ず確認してください。

英文契約書を読み解くための実践的アドバイス

英文43ページの契約書を宅建士として読んだ私でも、現地法の解釈には限界がありました。そのため、フィリピン弁護士資格を持つ法律事務所にレビューを依頼し、費用は約8万円でした。この8万円は、数千万円の取引における保険料として考えれば極めて安い出費です。

特に「Maceda Law(マセダ法)」はフィリピン独自の割賦販売保護法で、買主が一定期間以上支払いを続けた後にキャンセルする場合の返金義務をデベロッパーに課す法律です。この法律の適用条件を契約書と照らし合わせることで、いざという時のキャンセル交渉力が格段に上がります。プレセール物件の購入を検討しているなら、マセダ法の理解は必須知識と断言します。フリーランスが副業収入で資金繰りを安定させた3つの副業

まとめ:日本人が失敗しない購入準備3つ

海外不動産を購入する前に整えておくべきこと

海外不動産を日本人が購入する流れを、私のフィリピン・オルティガスでの実体験から整理しました。最後に、購入前に必ず整えておくべき3つの準備をまとめます。

  • 資金計画の精緻化:物件価格だけでなく、海外送金手数料・現地税金(DST・移転税)・弁護士費用・為替変動バッファを含めた総コストを試算する。私のケースでは物件価格の約7%が諸費用として上乗せになりました。
  • 契約書の専門家チェック:宅建士と現地弁護士の両方でレビューする。特に完成時期・キャンセル条項・外国人所有制限の3点は交渉の余地があるため、サイン前に必ず確認する。
  • 海外送金の事前準備:取引銀行に正しい目的コードを確認し、支払い期限の2週間前には手続きを開始する。送金保留が発生した場合に備え、契約書・請求書・物件概要書の3点を常に手元に用意しておく。

資金繰りに不安があるフリーランスへ

海外不動産 投資を始めようとするフリーランス・個人事業主の方から、「手元資金が不安定で初期費用を払うタイミングが読めない」という相談を、保険代理店時代から何度も受けてきました。売上の入金サイクルが長いフリーランスにとって、数十〜数百万円単位の予約金・頭金を「期日通りに」用意することは、思った以上に難しい問題です。

そうした資金繰りの課題を解決する手段として、報酬の即日先払いサービスは有力な選択肢の一つです。クライアントへの請求を待たずに手元資金を確保できるため、海外送金の期日に合わせた資金手当てが格段にしやすくなります。まずは手数料・利用条件を確認した上で、自分のキャッシュフローに合うかを判断してみてください。

フリーランス・個人事業主限定の報酬即日先払いサービス「labol(ラボル)」

筆者:Christopher(クリストファー)/AFP(日本FP協会認定)・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・フリーランスの資金相談を多数担当。現在は東京都内で法人を経営し、インバウンド向け民泊事業を運営中。自身の海外不動産購入経験と国内資格を組み合わせ、実務視点での情報発信を続けている。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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