個人事業主の屋号が同じか確認する方法|AFPが教える5手順

屋号が他社と同じ名前だと気づかずに開業し、後から商標侵害を指摘された事例は珍しくありません。AFP・宅地建物取引士として保険代理店時代に多くの個人事業主の資金相談を受けてきた私、Christopherが、個人事業主の屋号が同じ名前かどうかを確認する方法を5つの手順で具体的に解説します。開業前・屋号変更前に必ず目を通してください。

屋号重複が招く3つのリスク

信用毀損と顧客混乱は「他人事」ではない

屋号に法的な登録義務はなく、同じ名前でも複数の事業者が使えるのが日本の制度です。ただし「使えること」と「トラブルが起きないこと」は別の話です。

特に懸念されるのが、既存の有名事業者と同じ屋号を使ってしまうケースです。SNSで顧客がタグ検索した際に別の事業者のページが表示され、自分への問い合わせが流れてしまう事態が実際に起きています。私が東京都内で民泊事業を立ち上げた2021年、似た名称のゲストハウスが近隣に存在することを後から知り、予約サイトの検索順位で混同されかけた経験があります。屋号の重複調べ方を事前に徹底していれば防げたと、今でも反省しています。

商標権侵害・不正競争防止法に抵触するリスク

リスクの中で特に深刻なのが法的問題です。他者が商標登録を済ませている名称を屋号として使い続けると、商標権侵害として損害賠償請求を受ける可能性があります。

また、商標登録がなくても「周知の表示」として保護される名称があります。不正競争防止法第2条第1項第1号は、他者の商品・営業の出所と混同させる行為を規制しており、知名度のある屋号と同じ名前を使うだけで訴訟リスクが生じます。「登録商標じゃなければ大丈夫」という認識は誤りです。

さらに開業後に屋号を変更すると、名刺・請求書・ウェブサイト・SNSアカウントを全面的に作り直す必要があり、コストと時間が相当かかります。屋号の重複確認は、開業前に一度だけ行えばよいシンプルな作業です。後回しにする理由はありません。

国税庁サイトで法人名を確認する手順(筆者の実体験)

法人番号公表サイトの使い方と注意点

保険代理店に勤務していた頃、あるフリーランスのデザイナーから「開業届を出したあとに取引先から『うちの関連会社と同じ屋号だ』と言われた」という相談を受けました。調べてみると、確かに同名の株式会社が存在していました。このとき私が最初に使ったのが、国税庁が運営する「法人番号公表サイト」です。

国税庁の法人番号公表サイト(https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/)では、日本国内に存在するすべての法人の商号・所在地・法人番号を無料で検索できます。個人事業主の屋号そのものは収録されていませんが、「同じ名前の法人が存在するかどうか」を確認するうえで有効です。

検索手順は次のとおりです。サイトにアクセスし、「商号・名称」欄に検討中の屋号を入力して「検索」ボタンを押すだけです。完全一致だけでなく、部分一致で検索できる点が便利で、「〇〇デザイン」と入力すれば類似する法人名も一覧表示されます。ヒット件数が多い場合は都道府県で絞り込み、事業内容が近い法人がないか確認してください。

「個人事業主の屋号は検索されない」落とし穴

法人番号公表サイトで確認できるのは「法人」だけです。個人事業主の屋号は収録されていません。つまりここで「該当なし」であっても、同じ屋号を使っている個人事業主が全国に何十人もいる可能性は十分あります。

私が民泊事業を始めた際、法人番号公表サイトで屋号に使いたいワードを検索して法人がヒットしなかったため安心したのですが、その後Googleで同じワードを検索すると、似た名称の個人経営ゲストハウスが複数存在することがわかりました。法人番号公表サイトはあくまで「第1チェックポイント」であり、それ単独で完結させるのは危険です。次のステップとして商標確認とGoogle検索を組み合わせることが重要です。

商標登録の検索手順

J-PlatPatで商標を無料検索する方法

屋号の商標確認は、特許庁が提供する産業財産権情報プラットフォーム「J-PlatPat」(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)で行います。登録商標・出願中の商標を無料で検索でき、権利の存続状況まで確認できます。

トップページの「商標」タブから「商標検索」を選び、「テキスト検索」で屋号のキーワードを入力します。検索結果には商標の図形・文字・区分(商品・サービスの種別)・権利者・存続期間が表示されます。ここで注意すべきは「区分」です。同じ名称でも、区分が異なれば共存できるケースがあります。たとえば「フード系の商標」と「ITサービス系の商標」は区分が異なるため、別々に登録されている例が珍しくありません。

自分が行う事業の区分(ニース国際分類)と照合することが重要です。区分の判断に迷う場合は、弁理士への相談を検討してください。個人差がありますが、弁理士への相談費用は初回30分5,000〜10,000円程度が一般的な目安です(専門家により異なります)。元保険営業が語る取引先リスク分散|売上の30%ルール

類似商標・称呼(読み方)にも注意が必要な理由

商標侵害は「文字が完全に一致する場合」だけでなく、「外観・称呼・観念が類似する場合」にも成立します。たとえば「SAKURA」と「SAKRA」は見た目は違いますが、称呼(読み方)が近いため類似と判断されることがあります。

J-PlatPatで完全一致がなくても、発音が近い名称や漢字・ひらがな・カタカナ変換のバリエーションで検索し直すことを強くお勧めします。屋号の重複調べ方として、最低でも「漢字表記・ひらがな表記・ローマ字表記」の3パターンで検索してください。この一手間が、後のトラブルを防ぐうえで大きな意味を持ちます。

ドメイン空き状況と検索エンジンでの確認法

ドメイン取得可否が「屋号の空き具合」を示すバロメーターになる

屋号を決める際、私はドメインの空き確認を必ずセットで行っています。ドメインとは「example.com」のようなウェブサイトのアドレスです。屋号と同名のドメインが既に取得されている場合、同じ名称のウェブサイトが存在する可能性が高いと判断できます。

確認には「お名前.com」や「ムームードメイン」などのドメイン登録サービスを使います。屋号候補をそのままローマ字入力し、「.com」「.co.jp」「.jp」の3種類の空き状況を調べてください。「.co.jp」が取得済みであれば法人が使用中の可能性が高く、「.com」が取得済みであれば個人・法人問わず既存の事業者が存在することを意味します。

屋号のドメイン確認は5分もかかりません。それだけで重複リスクを大幅に絞り込めます。

Google検索・SNS検索で「認知度」を測る

ドメイン確認と並行して、Google検索・X(旧Twitter)・Instagram・FacebookでもME屋号候補を検索してください。SNSでハッシュタグ検索し、同じ名称を使っているアカウントが複数見つかった場合は要注意です。

特にGoogleの検索結果で1ページ目に同業者が表示されるなら、SEO上の競合が発生するだけでなく、顧客からの問い合わせが誤って届くリスクも高まります。個人事業主の屋号決め方として、「Googleで検索して何も出てこない名前」を選ぶのは有効な基準の一つです。フリーランスが支払サイト30日交渉で成功した全記録

また、フリーランスの場合はクラウドソーシングサービス(ランサーズ・クラウドワークスなど)でもプロフィール名を検索しておくと、同名の出品者が存在するかどうかを事前に把握できます。私が保険代理店時代に担当したあるウェブデザイナーは、クラウドソーシング上で全く同じ屋号を先に使っていた別のフリーランサーがいることを開業半年後に知り、自身の評判が混同されて困ったと話していました。早期確認の重要性を改めて痛感した事例です。

屋号決定前の最終チェックと資金面の備え|まとめ+CTA

屋号確認の5手順チェックリスト

  • 手順①:国税庁 法人番号公表サイトで同名・類似法人名を検索する(完全一致+部分一致)
  • 手順②:J-PlatPatで商標検索を行い、自分の事業区分と照合する(漢字・ひらがな・ローマ字の3パターン)
  • 手順③:ドメイン空き確認(.com / .co.jp / .jpの3種)で既存ウェブサイトの有無を把握する
  • 手順④:Google・SNS検索で同名の個人事業主・フリーランスがいないか確認する
  • 手順⑤:クラウドソーシング・専門プラットフォーム検索で同業者の有無を最終確認する

個人事業主の屋号が同じ名前かどうかを確認する方法は、上記の5手順をすべて実行することで網羅されます。一つひとつは無料・短時間でできる作業であり、組み合わせることで重複リスクを大幅に減らせます。

なお、手順②の商標確認で類似商標が見つかった場合や、自分で商標登録を検討したい場合は、弁理士への相談を強くお勧めします。専門家の判断を仰ぐことで、後からの屋号変更や法的トラブルを避けられる可能性が高まります(個人差があります)。

屋号確定後の資金繰りにも備えておくべき理由

屋号を確定させて開業した後、多くの個人事業主が直面するのが「売掛金の回収タイムラグ」による資金繰り問題です。私が保険代理店でフリーランスの相談を受けていた頃、屋号変更後のリブランディングで広告費が膨らみ、売掛金の回収前に経費が逼迫したという相談が何件もありました。

売掛金が発生しているにもかかわらず手元資金が足りない局面では、ファクタリングサービスが選択肢の一つになります。ファクタリングとは、保有する売掛債権を売却して早期に資金化するサービスです。銀行融資と異なり、与信審査が売掛先に向けられるため、開業間もない個人事業主でも利用できる場合があります(審査結果は申込み内容により異なります)。

資金調達の選択肢を一つ増やしておくだけで、屋号変更・リブランディングなどの「初期費用がかかる場面」でも落ち着いて対処できます。開業準備と同時に、資金繰りの手段を把握しておくことが個人事業主として長く続けるための基盤になると、私は実務経験から考えています。

個人事業主・中小企業の即日資金化サービス ファクタリングZERO

筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・フリーランスの資金相談を多数担当。現在は東京都内で法人を経営し、インバウンド向け民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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