会社員が退職前に準備すべき5つのこと|元会社員の実体験

会社員として退職前にやっておくべき準備を、あなたはどれだけ把握していますか?私はAFP資格を持ち、保険代理店勤務時代に数多くのフリーランス・個人事業主の資金相談を受けてきました。その経験から断言できます。退職前の準備を怠ると、独立後に想像以上の不利益を被ります。この記事では会社員時代にしか使えない「信用」を最大限に活用する5つの準備を、実体験とともに解説します。

退職前だからこそ使える5つのメリット

会社員の「属性」は独立後には戻らない

会社員という肩書きは、あなたが思っている以上に大きな経済的価値を持っています。金融機関が融資審査やクレジット審査をするとき、最初に見るのは「安定した給与収入があるかどうか」です。正社員として在籍しているだけで、その審査ハードルは劇的に下がります。

私が総合保険代理店に勤めていた3年間、独立したばかりのフリーランスや個人事業主から「退職してからローンが組めなくなった」「クレジットカードを何枚も断られた」という相談を何度も受けました。中には独立から半年も経たないうちに生活防衛のために副業に戻る方もいました。会社員という属性は、退職した瞬間に消えます。使えるうちに使い切ることが鉄則です。

退職前に押さえるべき準備5項目の全体像

これから解説する5つの準備は、①クレジットカードの作成・増枠、②住宅ローンの申請または借り換え、③健康保険の切り替え戦略、④退職金の受取と税務処理、⑤開業届の提出タイミング、です。

これらはすべて「会社員である今」にしか最適な条件で実行できません。順番にも意味があります。信用を使う手続き(①②)を先に終わらせ、退職に伴う行政手続き(③④)を整理し、最後に個人事業主としての第一歩(⑤)を踏み出す流れが最も合理的です。

会社員信用の活用法|私が退職前に実際にやったこと

クレジットカードと住宅ローンは「在職中」が絶対条件

私が法人を立ち上げる前、東京都内での民泊事業を構想し始めたのは在職中のことでした。そのとき真っ先に動いたのがクレジットカードの整備です。事業用の支出をカードで一括管理するために、年会費無料のビジネスカードと個人カードの2枚体制を在職中に作りました。

結果として、この判断は大正解でした。独立後に同じカードに追加申請した知人は、事業収入が安定していたにもかかわらず審査で苦労していました。個人事業主1年目は確定申告書が1期分しかなく、収入の「証明」が弱いのです。カードは在職中に作る。これは絶対に守るべきルールです。

住宅ローンについても同じ論理が成立します。フリーランスが住宅ローンを組むには、原則として確定申告書3期分の提出が求められます。会社員なら直近の源泉徴収票1枚で済む審査が、独立後は3年待たないとスタートラインにすら立てないのです。マイホームを検討しているなら、在職中に動くことを強く勧めます。

保険代理店時代に見た「後悔の相談」事例

保険代理店に勤めていたとき、40代のWebデザイナーの方から相談を受けたことがあります(個人が特定されないよう詳細は変えています)。その方は退職から2年後にマンション購入を検討しましたが、フリーランス収入が月40万円以上あるにもかかわらず、ローン審査で2行に断られました。理由は「事業年数が浅い」と「確定申告の所得が節税によって圧縮されすぎていた」ことでした。

AFP資格を持つ私から見ても、これは典型的な「節税と信用のトレードオフ」の失敗例です。所得を低く見せれば税金は減りますが、ローン審査では不利になります。退職前にローンを組んでおくか、あるいは独立後は数年間は申告所得を意図的に高めに保つか、戦略的に選択する必要があります。退職前の準備がいかに重要か、この事例が端的に示しています。

クレカと住宅ローン|具体的な手順と注意点

クレジットカードは退職の6ヶ月前から動き始める

クレジットカードの審査は申し込みから発行まで最短で1週間、長いと1ヶ月かかることがあります。また、短期間に複数枚申し込むと「多重申し込み」として信用情報に記録され、審査に悪影響が出ます。退職の6ヶ月前から計画的に動くことが必要です。

私が実際に使った手順は、まず在職中に限度額の高いゴールドカード1枚を申し込み、その3ヶ月後にビジネスカードを申し込むというものでした。独立後の経費支払いや、事業の運転資金の一時的な立替にカードの限度額は直結します。枚数よりも「合計限度額」を意識して選ぶことを勧めます。

住宅ローンは「退職日の確定前」に仮審査を通す

住宅ローンの本審査は在籍確認が行われます。つまり、退職辞令が出た後では在職証明が難しくなるケースがあります。退職日を上司に告げる前、少なくとも退職届を出す前に仮審査(事前審査)を通しておくことが理想です。

宅地建物取引士として不動産取引にも関わる立場から補足すると、住宅ローンの本審査通過から融資実行まで通常1〜2ヶ月かかります。退職スケジュールと物件の引き渡し日を逆算して、仮審査のタイミングを計画してください。焦って退職を先に進めてしまうと、あとから取り返しがつきません。独立1年目の失敗談|AFPが振り返る5つの反省点

健康保険の手続き|3つの選択肢を正しく比較する

任意継続・国保・家族の扶養、それぞれの実態

退職後の健康保険には主に3つの選択肢があります。①会社の健康保険を最長2年間継続する「任意継続」、②国民健康保険(国保)への切り替え、③配偶者などの扶養に入る方法です。どれが得かは年収と家族構成によって異なりますが、正しい比較をせずに手続きを進める方が非常に多いのが実態です。

任意継続は退職日の翌日から20日以内に申請する必要があります。この期限を過ぎると選択肢は国保のみになります。手続きの締め切りが非常に厳しいため、退職前に必ず確認しておいてください。保険料の試算は、現在加入している健保組合のWebサイトか、市区町村の窓口で確認できます。

保険料の試算は退職前に必ず行う

国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されます。会社員として収入が高かった翌年は保険料も高くなります。独立直後に収入が不安定な時期でも、前年度の会社員年収に基づく高額な保険料が請求されるのです。私が法人を立ち上げた直後もこの問題に直面しました。

一方、任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額をもとに計算され、上限は2023年時点で月額約3万円(協会けんぽの場合)です。高年収だった方ほど、任意継続のほうが国保より安くなるケースがあります。ただし2022年からは任意継続の保険料が途中で変更できる制度改正もあったため、最新情報を必ず確認することを勧めます。会社員からフリーランスへ独立|3ヶ月の準備リスト

退職金の受取と税務|知らないと損する節税の基本

「退職所得控除」は勤続年数で大きく変わる

退職金は「退職所得」として課税されますが、退職所得控除という非常に大きな控除が適用されます。勤続年数20年以下の場合は1年につき40万円、20年超の場合は1年につき70万円が控除されます。さらに課税対象は控除後の金額の2分の1だけです。つまり長く勤めるほど、受け取る退職金の手取りは格段に増えます。

私が総合保険代理店に勤務していた当時、30代前半で独立を考えていた相談者から「今辞めるか、あと5年待つか」という相談を受けることがありました。退職金の試算をすると、5年の差で手取りが数十万円単位で変わるケースも珍しくありませんでした。退職のタイミングは感情だけで決めず、退職金の金額と控除計算を先に確認することを強く勧めます。

退職所得の申告と確定申告の関係

退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すると、源泉徴収の段階で適切な税額が計算され、確定申告が不要になります。しかし、この申告書を提出し忘れると一律20.42%の源泉徴収が行われ、後から確定申告で還付手続きが必要になります。書類1枚の手続き忘れで手間が格段に増えます。退職手続きの書類一覧を会社の人事部に確認する際、この申告書の提出を必ずセットで確認してください。

また、退職した年に開業する場合、その年の確定申告では退職所得・給与所得・事業所得が混在します。青色申告で各種控除を活用するためにも、退職年の税務処理は特に慎重に行う必要があります。不安な方は税理士への相談を検討してください。

まとめ|退職前準備のチェックリストとCTA

退職前にやるべき5つの準備まとめ

  • クレジットカードは退職6ヶ月前から計画的に作成・増枠し、合計限度額を確保する
  • 住宅ローンを検討しているなら退職届を出す前に仮審査を通しておく
  • 健康保険は任意継続・国保・扶養の3択を保険料試算のうえで選び、退職翌日から20日以内に手続きする
  • 退職金は控除計算を事前に行い、勤続年数と退職時期を戦略的に決める。「退職所得の受給に関する申告書」の提出を忘れない
  • 開業届は退職後すみやかに提出し、青色申告承認申請書と同時に出して節税メリットを最大化する

開業届はマネーフォワードで無料・簡単に作成できます

退職後の最初の行政手続きが開業届の提出です。開業届と同時に青色申告承認申請書を税務署に出すことで、最大65万円の青色申告特別控除が使えるようになります。この手続きを後回しにするほど、節税のスタートが遅れます。

私が法人設立前に個人事業主として活動していた時期、開業届の作成で思った以上に時間を取られた経験があります。今はマネーフォワード クラウド開業届を使えば、必要事項を入力するだけで書類が自動生成されます。無料で使えて、電子申告にも対応しています。退職前準備の最後の仕上げとして、今すぐ準備を始めることを勧めます。

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筆者:Christopher/AFP・宅地建物取引士。大手生命保険会社2年、総合保険代理店3年を経て、個人事業主・フリーランスの資金相談を多数担当。現在は東京都内で法人を経営し、インバウンド向け民泊事業を運営中。

【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の投資・税務・法務行為を推奨するものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づきますが、最新情報や個別具体的な判断については、各分野の専門家(税理士・弁護士・宅建士・FP等)または公的機関にご相談ください。

【執筆・監修】
Christopher(AFP / 宅建士 / TLC)- 金融・不動産・法人実務の実体験ベースで執筆

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